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定義って何だろう

2005.10.17 Monday
笑わない数学者 - MATHEMATICAL GOODBYE -
笑わない数学者 - MATHEMATICAL GOODBYE - / 森 博嗣
(ネタバレを含む可能性があります。ご注意ください)
「定義」の曖昧さについて深く追求した作品だと思います。人間の感覚の敏感さと鈍感さを巧みに利用した空間的トリックは、根底にある「固定観念」と「定義」を疑わせるに十分な影響を与えてくれます。

ある問題を解決する上で最も邪魔になるもの。それは「人間の感情」だと犀川先生は言います。その人間の感情のもっとも基本となっているのが、その人が持っている「常識」とか「固定観念」といったものです。

ある事象が存在するから、人は感情を生む。事象が存在するためには、その存在を定義する必要があるというわけです。起こった事象がその人の常識に反しているから、憎しみとか悲しみといった感情が生まれるとも言えます。

森先生の作品を読んでこれで3作目になりますが、森先生の作品では人間関係が非常に複雑に絡み合います。関係ないと思っていた二人が実は親子だったとか、兄弟だったとか、過去に起こった出来事でつながりを持つようになっているとか。今回もそんな状況です。

「オリオン像の謎」の鍵となる空間的トリックは、前述のとおり人間の感覚を逆手に取ったものです。同時に、光と闇、有機質と無機質を巧みに織り交ぜ、視覚情報を計算し、環境に左右されながらも、足元を見続ける限り解決できない、非常に精巧なトリックです。

解くためには、自身がガリレオ・ガリレイになる必要があります。この意味、読んだ人にはわかるはず。

僕にS&Mシリーズを進めた張本人、Pekoは「笑わない数学者」は面白くないと言いました。彼はすでにS&Mシリーズを完読しており、相対的な観点でそう評価したのかもしれません。

何を言う。とても面白いじゃないか。僕はそう思いました。

彼はこの作品を面白くないと定義した。でも僕は面白いと思う。僕が面白いと「定義」すれば、この作品は面白いものになる。「定義なんて、そんなものだ」。


「自分を中心に円を描いてみなさい。その円周をまたがずに、円の外に出ることができるかい?」


誰が何をどう定義するかで、世の中の事象なんてどうとでも覆るんだなと、深く考えさせられる作品でした。
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