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F1第11戦 間違った"チームプレイ"

2010.07.27 Tuesday
2010 F1世界選手権 第11戦 サンタンデール・ドイツグランプリ
決勝 / ホッケンハイムリンク 67Laps(306.458km)
1位:フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)
2位:フェリペ・マッサ(フェラーリ)
3位:セバスチャン・ヴェッテル(レッドブル・ルノー)

世界の様々な国で自動車文化が発展しようとも、今なお「自動車大国」としての地位を揺るがぬものにしているドイツ。F1でも、実に6人のドライバーは母国グランプリを迎えました。その中には「新世代のスピードスター」セバスチャン・ヴェッテルと、「帰ってきた皇帝」ミハエル・シューマッハがいるわけです。

ポールポジションはヴェッテルが獲得するものの、アロンソが久しぶりのフロントロースタート。背後にマッサがいて、ヴェッテルはフェラーリ勢から強烈なプレッシャーをかけられてのスタートでした。今季はスタートだけは抜群に良いF10は、今回もそのポテンシャルを発揮してロケットスタートに成功。ヴェッテルは横のアロンソを抑えるべくブロックに行きますが、マッサがその隙を逃すはずもなく。漁夫の利を得て先頭に出ました。ヴェッテルは明らかにアロンソを気にしすぎました。まっすぐ走れば2番手は確保できたかもしれないのに、結局アロンソにもパスされて3番手ですからね。ちょっと焦りすぎたかな。

その後は順調に推移したこのレース、取り立てて目立つ場面もなく、ヴェッテルは12周目という早い段階でピットイン。タイヤをプライムタイヤ(固いほうのタイヤ)に切り替えて再スタート。これを見て、上位勢は続々とピット作業に入るわけですが、河合さんの解説によると、これは実は巧くないやり方だったということ。

僕はこのレースを再放送で見たので、FIAのLiveTimingを見ることはできなかったのですが、タイムチャート上では、プライムタイヤのデ・ラ・ロサよりも、オプションタイヤ(柔らかいほうのタイヤ)のマッサやアロンソのほうがペースは良かった。つまりこの時点ではオプションタイヤにアドバンテージがあったということです。なのに、ヴェッテルがピットインしたことで、ポジションを気にするあまりにそのアドバンテージを捨ててしまうことになった。ブリヂストンの浜島チーフは「F1チームは、この期に及んでまだタイヤの使い方をわかっていない」と嘆いているそうですが、タイヤをきちんと使いきらないうちに交換してしまうということは、つまり「守りのレース」をしているということ。レースで守りきるってのは大変なことなんですよね。しっかりとタイヤの能力を引き出し切って、全体のペースを底上げしていくっていう考え方を持ってもいいはずなんですが。保守的なんだよなぁ。

今回のレースはトラック上での見せ場があまりなくて、傍から見ると非常に退屈したレースだったかもしれません。ホッケンハイムリンクは、ヘアピンを挟んだ2本のロングストレートと、テクニカルコーナーの続くインフィールドで構成されていて、マシンとコースの"相性"が如実に表れるサーキット。よくマッチングしていたのはやはりフェラーリで、先頭のアロンソ、2番手のマッサともに、高いレベルでの安定した走りを見せていました。レッドブルもそれに負けないペースを維持。ヴェッテルは懸命に前の2台のフェラーリを追いかけていたわけですが、最終周回にマッサに肉薄したものの、ポジションを奪うことはできませんでした。やっぱりこういうサーキットは、「速さ」を限界まで追い求めるイタリアン・スポーツに最適なんですよね。爆発的なエンジンの性能を引き出しやすい環境にありますから。

2週間前のシルバーストンで散々なレースをして、僕もレビューで「怠慢」とまで書いたフェラーリ。跳ね馬が本来のパフォーマンスを取り戻して、チームプレイを思い出したかと思った矢先でした。マッサに入った一本の無線。「君よりもアロンソのほうがペースが速い。この意味、わかるよね?」

チームオーダー」は、現在のF1では禁止されています。同じチームから出走する2人のドライバーは、チームメイトでありながらライバル同士なわけで、チームメイト同士での争いが起こることも珍しくない。彼らは、トラック上で自らのスキルをすべて注ぎ込んで、フェアに戦います。それに水を差されるのだから、批判があって当然。勝利を目指しているドライバーに「負けろ」ということがどれほど酷なことか、わからないはずはないのに。

マッサは6コーナーで急減速、アロンソに道を譲りました。担当エンジニアのロブ・スメドリは、マッサに「それでいい。ごめん」と無線で伝えました。マッサも辛いけど、ロブも悔しいのです。エンジニアは、ドライバーと一心同体の存在。ドライバーとともにレースを戦っているのです。なのに上層部の勝手な思惑で、パートナーの敗北を見なければならない。ステファノ・ドメニカリは、どう思っているんだろうか。これは本当に「チームプレイ」なんだろうか。

アロンソは開幕戦のバーレーン以来となる今季2勝目。通算23勝目は、ネルソン・ピケに並ぶ歴代9位の勝利数。久しぶりの勝利なのに、アロンソもマッサも、どこか引きつった笑顔でした。勝利を心から喜べないなんて、なんともどかしいことか。トップ3インタビューでも、マッサは「チームオーダー」について執拗に尋ねられていました。懸命にチームをかばっていましたけど、マッサはとても虚しかったはず。フェラーリのこういうところ、僕は大嫌いです。

F1を見ていると、スポーツの黒い部分がたくさん見えてきて、時々とても嫌な気分になります。どんなスポーツにも多かれ少なかれそういう部分があることは分かっています。世界的なスポーツであるF1においては、それが表面に出てきやすいということも。そして、それも含めてのF1なのだ、ということも。わかっているんですけど、モヤモヤした気持ちは晴れません。僕らの見たいF1は、僕らの見たいスポーツは、こういうものじゃないはずなんですよ。せっかく好きなF1を楽しみに見るんだから、ここから楽しみたいと思うんです。楽しいスポーツを、見たいんです。

次は連戦になります。低速サーキットのハンガロリンク。ハンガリーを終えると、サマーブレイクに入ります。今度こそ、気持ちよく楽しめますように。

[ESPN F1]ドイツGP - 決勝レポート

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