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あれから21年 〜1.17を"知らない"僕ら〜

2016.09.01 Thursday

9月1日は「防災の日」です。1923年のこの日に発生した関東大震災にちなみ、また台風襲来の多い時期でもあることから、国民一人ひとりが自然災害への理解と認識を深め、被害軽減への備えを新たにする日として知られています。小中学校や各市区町村で防災訓練も行われ、昔は2学期の始業式に合わせて避難訓練が行われるのが恒例になっていましたね。

先日神戸に行った際、観光名所である神戸ポートタワーを訪れました。赤いフレームが特徴的なタワーの周辺は、かつてPuffyの歌の歌詞にも登場したメリケン波止場。一帯は「メリケンパーク」として整備されていて、現在は大規模な改修が行われていて立ち入り禁止でしたが、海辺の憩いの場として親しまれているそうです。

このメリケン波止場の脇に、「神戸港震災メモリアルパーク」があります。1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災(平成7年兵庫県南部地震)で、神戸港は甚大な被害を受けました。メリケン波止場も例外ではなく、地盤が大きく沈下して岸壁が完全破壊。その破壊された岸壁を、当時のまま約60mに渡って原状保存している場所です。傍らには記録写真や年表、ジオラマに映像資料なども揃えてあって、当時の様子を詳細にたどることが出来ます。

何の気なしにこの震災遺構を訪れて、僕はものすごい衝撃を受けました。崩れた岸壁、傾いた街灯、ひしゃげた鉄柵。一目見て「凄惨」「怖い」以外の言葉が見つかりません。ほんのこれほどの規模でも絶句するわけですから、当時この一帯のすべてが崩れ去ったのを目の当たりにした人々がどれほどの絶望を味わったか、想像することも出来ません。



それからいろいろと考えました。ひとつは、震災遺構を残す意味について。東日本大震災の関連でも、「奇跡の一本松」をはじめとして様々な形で震災遺構を保存しようという動きがあります。実は、僕は基本的にこういう遺構の保存には反対でした。というのは、東日本大震災においては僕自身が直接的・間接的に被害を受けていて、非常に大変な時期を過ごしたため、「当時のことをあまり思い出したくない」と思っているからです。今でさえ、津波の記録映像を見たりするのはちょっとシンドいし、3月になって巷にその話題が増えてくると憂鬱な気分になります。できることなら、早いとこきれいさっぱり忘れたいのです。

でも、震災の被害を体験していない人たちに、その悲惨さや衝撃を伝えるには、「当時の様子をそのままその目に見せる」ことが一番大事なのかもしれないと思いました。実のところ、僕がこうして大きな衝撃を受け、21年前を冷静に振り返ることが出来ているのは、僕が阪神・淡路大震災で直接的な被害を受けていないからです。過去の歴史的事実を認識した上に上乗せされた体験だから、いろいろ考えることが出来る。同じように、災害の被害を知識でしか知らない人たちが、震災遺構を訪れることでそれを追体験し、その先に復興の歩みや防災への教訓などが伝わるなら、遺構を残す意味は大きいのかもしれない。

もうひとつは、ボランティアとして被災地にコミットする"覚悟"についてです。2000年代以降、地震だけでも新潟中越(2004年)、新潟中越沖(2007年)、東日本(2011年)、熊本(2016年)と大規模な災害が頻発していて、その度に復旧・支援のためのボランティア活動が大きくクローズアップされるようになっています。新潟中越地震当時、大学生だった僕の元にも、支援ボランティアとして現地入りしないかという誘いがあるルートを通じてありました。時間的制約(秋学期が始まったばかりだった)が大きくて断念しましたが、今あらためて「行かなくてよかった」と思っています。

だって、あんな惨状が当たり一面に広がっていて、加えて人々の間には鬱々とした感情がくすぶっているわけです。そんな真っ黒な状況の中に、ハタチそこそこの僕が単身突っ込んでいっても、たぶん精神的に耐えられなくなっていたと思う。「人々を助けたい」「少しでも役に立つなら」という動機はとても重要なものだけど、同時に現地の凄惨な状況を直に体験すること、大きな負の空気を全身で受け止めることを覚悟しなきゃならない。「気軽に」とか「考えるより行動」なんて、とても言えるもんじゃないと思いました。

知らないことによる恐怖はもちろんありますが、知ってしまったからこそ味わう恐怖もあります。過去の災害を知った恐怖と、これからくる災害の恐怖、その両方とうまく付き合いながら日々を過ごしていくしかない。自分の命を自分で守れるように、自分だけでどうにもならなくなったときには誰かに守ってもらえるように、常に備えて、気を引き締めて生きていく。臆病な僕が出来る、それが唯一の道なのかもしれません。

東日本大震災の実体験に基づく 災害初動期指揮心得
国土交通省 東北地方整備局 (2015-02-09)


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