F1第3戦 レッドブル、はじまった

2010.04.06 Tuesday
2010 F1世界選手権 第3戦 ペトロナス・マレーシアグランプリ
決勝 / セパンインターナショナルサーキット 56Laps(310.408km)
1位:セバスチャン・ヴェッテル(レッドブル・ルノー)
2位:マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)
3位:ニコ・ロズベルグ(メルセデス)

退屈なバーレーン、アクシデントで大混乱だったオーストラリアを経て、今度は熱帯のマレーシアへやってきました。昨年のセパンでは、レース中に激しいスコールが降り、長い中断を経て途中終了となってしまったわけですが、今年は予選でスコールがあったようです。僕は予選は見なかったので全容は分からないのですが、フェラーリとマクラーレンはマネジメントを失敗して、後方に沈むことになったとのこと。そんな中で、レッドブルの2台はしっかりと前方とキープして、"今度こそ"の初勝利を狙います。

後方スタートになったマクラーレンでしたが、やはり「4強」と言われる実力は健在。特にハミルトンは、20番グリッドからスタートで13番手にジャンプアップ。13週目には7番手まで順位を上げていました。バトンも、序盤はなかなか思うようにパスできませんでしたが、レース距離の半分を終えるころにはトップ10に入っていました。2台とも本当にあっという間にスルスルとポジションを上げていて、こんなにも違うものかと、その差を実感させられましたね。マシンの戦闘力は、やはりトップクラス。マクラーレンは信頼性もかなりあるクルマに仕上がっているので、多少の失敗があったとしても、安定してポイントを稼いでいくことができるでしょう。チャンピオンシップを狙う上で、これはかなり大きい。

同じく後方スタートだった"赤い跳馬"フェラーリ。マッサはどうにかクルマを安定して走らせて、淡々と前のマシンを追いかける展開に持ち込んでいた印象。ただ、あまりアグレッシヴでなかったのは事実で、結果的には7番手フィニッシュ。バトンとのバトルがかなり長い間続いていて、ここで"抑えられていた"のが結果に響いてしまったかもしれません。マッサとバトンでは、ペース的にはマッサのほうがずっと速かったようですから。

他方、アロンソは、マッサがバトンをパスした直後に、バトンとのバトルに突入。これもかなり長く続いてしまいました。加えて低速ギアにトラブルが発生。それでも果敢に攻め続けましたが、最後はエンジンに負担をかけすぎてブロー。小倉さんが「最悪の結末」と言ったように、痛恨のノーポイントになってしまいました。これはチームの判断ミスでしょう。ギアボックスのトラブルが分かった時点で、安全にポイントを取りに行くレースをさせてもよかったのでは。1ポイントが左右するチャンピオンシップは、一昨年に身をもって体感しているはずなんですけれどね。

深刻なのは、ザウバーです。今回、デ・ラ・ロサはインストレーションラップでエンジントラブルを起こして、スタートすらできませんでした。小林も9周目にエンジンをブローさせて、これで3戦連続のダブル・リタイア。現時点では、新興の3チームよりも低い完走率になってしまっています。オフの混乱が尾を引いているとは思いたくはないのですが、ここ2〜3年の躍進を考えると、悲観的にならざるを得ません。ファクトリースタッフには、がんばって信頼性の高いマシンを作り上げてほしいところです。

さて、2番手と3番手からスタートしたレッドブルの2台ですが、レース中は国際映像にほとんど映りませんでした。F1中継においてこれが意味するところは明白で、つまり「全くトラブルがなく、安定した走りと完璧なレース運びだった」ということ。完勝でした。昨年のアブダビ以来の1-2フィニッシュで、ヴェッテルはようやくの初勝利です。フェラーリやマクラーレンの失敗が手助けをしたことは事実ですが、これまでマシントラブルで勝利を逃していたヴェッテルとレッドブルにとって、いい流れを作るレースになったのでは。

中1週開いて、今季は4戦となったフライアウェイの4戦目。次は中国です。チャンピオンシップは、9ポイント差に7人がひしめいています。今季の9ポイントは、昨シーズンまでの3ポイント相当に過ぎず、まさしく激戦。ヨーロッパラウンドに突入する前に、どのチームもアドバンテージを取っておきたいところでしょう。

[ESPN F1]マレーシアGP - 決勝レポート
[F1通信]F1マレーシアGP 7の結論

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F1第1戦 退屈なF1

2010.03.16 Tuesday
2010 F1世界選手権 第1戦 ガルフエア・バーレーングランプリ
決勝 / バーレーンインターナショナルサーキット 49Laps(308.405km)

1位:フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)
2位:フェリペ・マッサ(フェラーリ)
3位:ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)

今年も話題満載だったストーブリーグを終えて、待ちに待った開幕戦。例によってレギュレーションには多くの変更が加えられ、果たしてその変化がどうなるのかという注目の開幕戦。給油の禁止、ミハエル・シューマッハの復帰、フライング・フィンの不在。混沌と混乱が支配する、注目の開幕戦です。

僕は日曜日はサッカーの試合を見に行っていたので、決勝の模様は月曜日の再放送で全編見ました。CSだと何度か再放送をしてくれるので助かります。ちなみに公式予選は土曜日に生中継を見てました。

バーレーンのサーキットは、今年レイアウトの変更が行われ、全長がかなり延びました。今季19戦行われるカレンダーのうちでも、スパに次いで長い6kmのロング・ディスタンス。「ブレーキには優しくなったけど、タイヤには厳しくなった」とはブリヂストンの浜島チーフの弁で、追加されたセクター2の連続コーナーは、タイヤにはとても厳しいものになるだろうと、特にクルマが重い序盤は辛いのではないか、とのことでした。

が、これがとんだ計算違い。ポールポジションからスタートしたセブ・ヴェッテル以下、アロンソ、マッサ、ハミルトンと順調なレースペースで混乱なく、最後まで走り切ってしまいました。心配されたタイヤのタレもほとんどなく、とんだ肩すかし。

ヴェッテルは34周目にエグゾーストパイプが破損してしまったようで、一気にペースダウン。一時は2分5秒台という絶望的なラップタイムまで落ち込み「ポイントを取れればラッキー」とまで言われましたが、その後ヴェッテル自身のポテンシャルでもって2分1秒台まで戻して、最終的には4位でフィニッシュ。まずはよくがんばった、と言いたい。ですが、ノートラブルだったら優勝だったのはほぼ間違いのないところなので、レッドブルのテクニカルスタッフには、しっかり教訓にしてもらいたいです。昨年こういう取りこぼしを重ねたことで、彼はタイトルに手が届かなかったのだから。

そういう意味でも、Planet-F1が言う「F10(フェラーリのマシン)こそ乗るべきマシン」というのは、まったくもって正しいのでしょう。シーズン前から他チームとのアドバンテージを見せつけて、予選でも速さを見せ、レースでも安定した走りでもって1-2をかっさらったアロンソとマッサ。昨年は完全なる「失敗作」で、7月の段階で早々に開発をあきらめたフェラーリでしたが、今年のフェラーリF10は、現時点で無敵かもしれません。1周・1発のアタックが少しばかり速いマシンより、速くて信頼性があって壊れないマシンのほうが「良いマシン」であるのですから。

マクラーレンとメルセデス(昨年のブラウンGPチームである)は、目立って良さを発揮することができなかったものの、フェラーリやレッドブルと比べて致命的に取り残されているわけではありません。35度を超える超高温のバーレーンは、エンジンにやたら厳しいことは周知の事実ですし、彼らは同じエンジンを積んでいるわけですから、そのパフォーマンスも当然同等。それに、開発フィードバックには定評のあるハミルトン、シューマッハというドライバーがいるわけですから、追いつくのは時間の問題でしょう。

セカンドグループと目されたザウバーは、屈辱のダブルリタイア。とはいえ、予選では2人ともギリギリでQ2進出がやっとだったわけで、このコースには車が合わなかったのでしょうね。ヨーロッパラウンドに入ってからが勝負、といったところでしょうか。フライアウェイの3連戦は、我慢の1ヶ月になると思います。

次は2週間後のオーストラリアです。公道コースのアルバートパークは、狭いトラックと狭いランオフエリア、タイトなコーナーで大混乱の要因が満載。近年は必ずセーフティカーが出動しています。あまりにもオーバーテイクが少なくて退屈だったバーレーンを見て、さて、オーストラリアではどうなるか。Planet-F1は興味深い予測をたてています。
しかしあまりに悲観的になる前に、オーストラリアに対する楽観的なシナリオを考えてみよう。

通常のレーシング条件ではオーバーテイクが不可能に近いことを実感したドライバーは、先頭に出る唯一のチャンスは最初の周回だと理解し、思い切ったことをする。

ドライバーが思い切ったことをすれば、アルバート・パークのタイトなコースにセイフティ・カーが何度も出動する。そしてセイフティ・カーが出動すれば、一部ドライバーはタイヤがレースの最後までもつことを期待して、早めに「フリー」のピットストップをするという賭けに出る。これが大混乱のきっかけとなり、おそらくトラック上でドラマが多発する。

そう、これは期待に過ぎない。
[ESPN F1]バーレーンGP - 決勝レポート
[F1通信]F1バーレーンGP 5の結論

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若さという名の衝撃

2009.11.02 Monday
2009 F1世界選手権 第17戦 エティハド・エアウェイズ・アブダビグランプリ
決勝 / ヤス・マリーナ・サーキット 55Laps(305.470km)

1位:セバスチャン・ヴェッテル(レッドブル・ルノー)
2位:マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)
3位:ジェンソン・バトン(ブラウン・メルセデス)

2週間前のインテルラゴスで、ジェンソン・バトンとブラウン・メルセデスが始めてのワールドタイトルを決め、残る焦点は来年のシート争い。試金石となる最終戦は、中東初開催、UAEの首都アブダビにある人工島に建設された、ヤス・マリーナ・サーキットが舞台です。

予選で1分39秒台という圧倒的な速さを見せてポールポジションを獲得したのは、マクラーレンのルイス・ハミルトン。Q2で叩き出した1分39秒695というタイムは、現時点でヤス・マリーナのラップレコードになりました。まさに1人だけ異次元の速さで、ヴェッテル以下の後続勢を全く寄せ付けなかった。圧巻の予選セッションでした。

ですがそのハミルトンも、結局はマシントラブルに泣くことになります。順調なスタートだったハミルトンですが、レース中のリプレイ映像で、ブレーキングの際にフロントタイヤをロックさせるシーンが何度も映し出されていました。CSの解説陣も「何かおかしいね」と言っていたところに、21周目の緊急ピットイン。チームラジオではエンジニアが「すまない。レースを続けるのは不可能だ」と言っていました。どうやら右リアのブレーキドラムが故障したようです。川井さんの情報によれば、予選の後にも右リアのブレーキドラムに不調が見つかり、アタッチナットを交換していたようですが、リカバーできていなかったんですね。なんとも後味の悪い締めくくりになってしまいました。

2番手スタートのヴェッテルは、チームメイトのウェバーと共に無難なスタートから前方のハミルトンを追いかけました。ハミルトンがブレーキングで苦労する中で着実に差を縮め、1回目のピットストップであっさりとパス。ハミルトンがリタイアしてからは磐石のレース運びで、国際映像にはほとんど映りませんでした。それだけ完璧なレースだったのです。言うことは何もない。

これだけのポテンシャルをもっているヴェッテルだから、今シーズンはノーポイントレースが多かったのが悔やまれます。チャンピオンシップの最終順位は、バトンにわずか11ポイント差の2位。ノーポイントレースが5つもあって、うちリタイアが3回。とてももったいなかった。序盤から下馬評どおりの速さを発揮して、安定してポイントを稼げていれば、タイトルも取れたかもしれない。

個人的に、彼がBMWザウバーからデビューしたこともあって、セビーのことはとても応援しています。将来、彼は必ずワールドチャンピオンになれる。頂点に上り詰める力を、彼は持っている。レッドブルでタイトルを取るのか、それとも移籍してからになるのかは分からないけど、常にチャレンジを続けて、トップを目指してほしい。これからもがんばれ、セビー。期待しています。

期待といえば、来季以降に向けて大いに期待させる走りを見せたのが、トヨタの小林可夢偉。名前は「かむい」と読みます。日本GPで負傷したティモ・グロックに代わって、インテルラゴスとヤス・マリーナでTF109をドライブ。予選12番手から1ストップ作戦を活かしてジャンプアップに成功し、6位フィニッシュ。参戦2戦目にして初ポイントを獲得しました。第1スティントはタイヤを労わって堅実な走りをし、第2スティントはトゥルーリやバリチェロとバトルを繰り広げながらも、安定した走りを続けました。首脳陣に強烈なインパクトを残したことは確実。来季のシートを、果たして獲得できたかどうか。

ワールドタイトルを獲得したバトンは、シーズン後半の不調を最後まで拭い去れず、それでも序盤の開発アドバンテージをきちんと活かして、3位表彰台。最終盤は前を走るウェバーを執拗に攻め立て、2位を狙いましたが、ウェバーもよく守りました。来季はNo.1のカーナンバーを背負って出走するバトン。来季の走りにも注目ですが、それよりも目下関心を集めているのは、フィアンセとの行く末、でしょうか?

今回のファステストラップは、ヴェッテルがファイナルラップの1周前に刻んだ、1分40秒279。ヤス・マリーナは、タイヤを使えば使うほど、タイヤの効果が向上していく「ネガティブ・デグラデーション」という特殊なサーキットのようです。通常、周回を重ねてタイヤを使っていくと、タイヤの熱構造や形状変化で、本来の性能が徐々に落ちてくるものなんです。これを「デグラデーション」あるいは「タイヤがタレる」というんですが、タレるとタイムは落ちていくのが普通です。

ところが、ヤス・マリーナでは、周回を重ねるごとにどんどんタイムが上がっていった。燃料搭載量が減ることによるペースアップ(フューエル・エフェクト)を考慮しても、そのペースアップはそれ以上でした。小林の1ストップ作戦がハマッたのもこの影響です。こちらの期待以上にレースペースが伸びるんで、見ていてとても面白かった。こういうサーキットは、あってもいい。いろいろな作戦が入り乱れて、それも楽しめますね。

これで今年のF1は終わりです。次の注目は「ストーブ・リーグ」。ドライバーの移籍・残留で、来季のラインナップがどうなるのか。4チーム増えて14(あるいは13)チームになる来シーズンのF1は、カナダの復活と韓国の新規開催で、年間19戦になります。開幕は3月14日のバーレーン。

世界中を駆け抜けた最高峰のエギゾーストノートにしばしの別れを。

[F1-Live.com]アブダビGP - 決勝レポート
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あるべき姿への回帰

2009.07.27 Monday
2009 F1世界選手権 第10戦 INGハンガリーグランプリ
決勝 / ハンガロリンク 70Laps(306.663km)
1位:ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)
2位:キミ・ライコネン(フェラーリ)
3位:マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)

モナコグランプリ以降、個人的にいろいろとありまして、まともにF1を見れていませんでした。約2ヶ月ぶりにフル観戦したF1は、その勢力図がずいぶん変わっていました。リザルトにも、それが顕著に現れています。

前半戦、圧倒的な速さを見せてチャンピオンシップで「独走態勢」を築いたブラウンGP。しかし、ハンガリーの予選では、バリチェロがQ2落ちし、バトンも8番手を確保するのがやっと。徐々に安定性を増してきていたレッドブルは、ヴェッテルとウェバーで2番手・3番手を確保。マクラーレンやフェラーリもグリッド順を上げていて、予選結果には驚きを隠せなかったものです。

レーススタートでは、KERSの追加他をマスターしつつあるハミルトンが、スタートとオープニングラップで一気に3番手までジャンプアップ。ハードタイヤをチョイスしたヴェッテルは、ダスティな偶数グリッドだったことも災いしてキックアップが悪く、順位を大きく落としてしまいました。逆にウェバーはオープニングラップで2番手に上がり、同じチームで明暗が分かれる結果に。

スタート後の1コーナーで、ライコネンがヴェッテルと接触したようで、文字情報でレース後の審議対象となることが通知されていました。結局のところレーシングアクシデントとして処理されて、お咎めなしということになりましたが、スタート直後のアクシデントがレース後まで響いてしまうというのは、なんとも気持ちの悪いものです。スチュワードはドライバーの意見を聞きたいのだろうと森脇さんが言っていて、それもわからなくもないのですが、なんだかなぁ。どうなんだろうぁ。

モンテカルロに次ぐ低速サーキットとして有名なハンガロリンクは、やはりオーバーテイクゾーンが極端に少ない。今年も例に漏れず、コース上でのオーバーテイクはほとんどありませんでした。終盤の、トゥルーリ、中嶋、バリチェロの8位争いはそれなりに見ごたえのあるものでしたが、挟まれている中嶋は、トゥルーリを攻めるよりも、バリチェロからポジションを守るのに必死なようで、唯一仕掛けたかな、というのはファイナルラップの1ヶ所だけ。ちょっと物足りなかったかな。今シーズンはなかなか波に乗れない中嶋ですが、あそこはリスクを犯して攻めていっても良かったんじゃないか。9位だろうが10位だろうが、順位を上げなければポイントはないわけだから。

ポールポジションから順調に先頭を走っていたアロンソは、1回目のピットストップでクルーが大きなミスを犯してしまいました。右フロントタイヤを交換した際、ロックナットを締め切らないうちにロリポップが上がってしまったんですね。それで、タイヤの装着が不十分なまま走り出してしまい、結果タイヤが外れてしまいました。スチュワードは安全対処義務違反として、次のヨーロッパGPの出場権も剥奪。アロンソ自身のミスではないだけに、ハンガリーと、母国グランプリでのチャンスすら失ってしまったのはまったく惜しいことです。こういうのは1年に1度あるかどうかというミスですから、切り替えてスパに臨むしかありません。

そして上位を走っていたヴェッテルもリタイア。第2スティントで突如マシンに異常をきたし、それを無線で訴えたヴェッテル。チームはテレメトリでも原因を特定できず、緊急的にフロントウイングとフロントタイヤを交換して再びトラックに送り出しましたが、事態は好転しませんでした。ここでのノーポイントレースは、チャンピオンシップを考えると非常に痛い。ポイントリーダーのバトンは、結局しぶとく2ポイントを拾っているわけで、少しでもポイントを稼ぎたかっただろうに。同僚のウェバーが表彰台にあがっていることを考えると、さぞ悔しかったことでしょう。

マクラーレンとフェラーリには、戦闘力が戻ってきました。3週間のブレイク期間で、ずいぶん開発を加速させたようです。今シーズンはロードテストが一切禁止されているものの、地で持っている開発能力はやはり随一のもの。KERSとのカーバランスも熟成されつつあり、パフォーマンスは右肩上がりです。テスト禁止で時間はかかりましたが、やっと「本来上にいるべきチーム」が、その力を発揮し始めました。チャンピオンシップは、ブラウンGPとかなりの得点差がついてしまっているので難しいかもしれませんが、後半戦を面白くしてくれることでしょう。

次のヨーロッパグランプリまでは、3週開くことになります。協定により、このサマーブレイクの期間は、ロードテストはもちろん、風洞、CFD、CADなど、全ての開発作業をストップしなければならないそうで、チームは完全な「夏休み」になります。いい機会ですから、しっかりリフレッシュして、頭の中でアイディアを練って、そして4週間後、ヴァレンシアでまたすばらしいパフォーマンスを見せてくれることを期待しています。

[F1-Live.com]ハンガリーGP - 決勝レポート
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磐石

2009.05.25 Monday
2009 F1世界選手権 第6戦 モナコグランプリ
決勝 / モンテカルロ市街地コース 78Laps (260.520km)
1位:ジェンソン・バトン(ブラウン・メルセデス)
2位:ルーベンス・バリチェロ(ブラウン・メルセデス)
3位:キミ・ライコネン(フェラーリ)

決勝レースの前日の土曜日、僕と同じようにF1好きの友人と話していました。彼はフェラーリファンなんですが、いろいろと話しているうちに、やはりどうしても直近のグランプリの話題になります。そして、この特別なグランプリに、こう口をそろえるのです。

「いよいよ、モナコだね!」

伝統のモナコ。ル・マン24時間、インディ500と共に世界三大モーターレースに数えられるグランプリは、モナコ自動車クラブの主催、モナコ皇室のスポンサードの下、実に華々しく開催されます。木曜日のフリー走行、皇室主催のパーティ、ハーバーに停泊するクルーザーから観戦する人々、世界中から集まるセレブリティ。何もかもが特別。他のグランプリとは違う、世界中のファンが待ち望む4日間。それが「グランプリ・ド・モナコ」。

公道コース特有の狭いトラックの影響で、ポールポジションを獲得することが何より重要といわれるモンテカルロ。好調をキープするブラウンGPは、ここでもバトンが最前列を獲得し、バリチェロも2列目・3番手からのスタート。フロントローのもう1台は、フェラーリのライコネン。跳ね馬の復活も期待されたスタートでしたが、バリチェロが抜群のスタート。ライコネンはKERSを駆使して2番手をキープしようとしますが、サン・デボーテまで200mしかない直線では、KERSは威力を発揮できませんでした。

好スタートをきったバリチェロでしたが、第1スティントのペースは全く上がりませんでした。後ろで付き合わされるライコネンは、これでは優勝が狙えなくなると考え予定より早くピットイン。そして、バリチェロは1周後にピットイン。ポジションを維持するために静止時間を短くして、フェラーリの前に壁を作りました。この段階で、ライコネンの優勝はほぼなくなってしまいましたね。バトンが実に快調に飛ばしていたので、他のクルマには(チームメイトのバリチェロを含めて)ノーチャンスでした。

ライコネンはそれでも2位を獲得するチャンスがあったんですが、2回目のピットストップで作業に失敗して、バリチェロの前に出られず。もったいない。実にもったいない。ピット作業には定評のあるフェラーリですが、大事なところでミスが出てしまいました。

そのあともトラック上で目立った動きはなし。モナコのセオリーに漏れることなく、バトンがポール・トゥ・ウィンで今季5勝目。トップ3はスタート時のトップ3と同じメンバーになりました。技術的制限がきつくなっている昨今では、トラック上でパスするのはよほどのアドバンテージがないと難しいですね。数年前はトンネル後のポート・シケインやミラボーでパスするシーンがよく見られたものですが、ここ2・3年はそういうシーンも少なくなりました。

ブラウンGPがここまで力を発揮できているのは、他のチームの戦闘力が思ったほど上がっていないからに他なりません。昨シーズンまるまる使って、ホンダの資金で開発された(本来RA109となるはずだった)BGP001は、シーズン前の開発という点で他チームに比べ大きなアドバンテージを持っています。ロス・ブラウンがMBOによってチームを取得したとき、このチームには資金がなく、スタッフも大量に解雇せざるを得ない状況にあったため、このアドバンテージがなくなるのは時間の問題で、フェラーリやマクラーレン、ウィリアムズといったチームはすぐに追いつくだろうと思われていました。

ところが、シーズン前にFIAによって発表された技術/競技規約の変更により、シーズン中のオンロードテストと大規模な風洞実験が禁止されました。使えるのはコンピュータ・シミュレーションと小さな風洞模型だけ。昨シーズンまでのような思い切ったテストができず、マシンの改良はなかなか進まない。つまり、ブラウンGPとの差が詰まらない。だから、ブラウンが強いのは、「他のチームが強くなれない」からなんですね。

この1戦だけでも、フェラーリに速さが戻ったのは好材料。予選では2番手と5番手を獲得して、決勝でも今シーズン初のダブルポイント。次はこの速さを維持できるかどうかが課題です。イスタンブールは、マッサが3年連続で完全勝利しているサーキット。本格的に反撃ののろしを上げることができるんでしょうか。

マクラーレンは、予選でハミルトン、決勝ではコヴァライネンがそれぞれクラッシュ。運がなかったんでしょう。ドライバーの能力には文句のつけようもないわけですから、クルマのさらなる改良が求められます。「凋落の名門」とならないように。

2週間後にはトルコでの開催が待っています。近年のティルケ・サーキットでは屈指の傑作と言われるハイスピードコースで、ここでもBGP001は速さを見せるのか。フェラーリの巻き返しか。マクラーレンの復活はあるのか。レッドブルの追撃は。いよいよウィリアムズか。楽しみの尽きないイスタンブールは、もう目の前です。

[F1-Live.com]モナコGP - 決勝レポート
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本物の速さ

2009.04.27 Monday
2009 F1世界選手権 第4戦 ガルフエア・バーレーングランプリ
決勝 / バーレーンインターナショナルサーキット 57Laps(308.238km)
1位:ジェンソン・バトン(ブラウン・メルセデス)
2位:セバスチャン・ヴェッテル(レッドブル・ルノー)
3位:ヤルノ・トゥルーリ(トヨタ)

スコールが襲ったマレーシア、雨の上海を経て、フライアウェイの最後は灼熱の砂漠・バーレーン。気温36度、湿度19%、路面温度50度という、クルマにとってもドライバーにとっても実に過酷な環境。しかし、今シーズンはじめての「トラブルフリー」なレースを、全世界のモーターレースファンは楽しみました。イエローフラッグすら出なかったレースなんて、本当に久しぶり。

参戦5年目、通算127戦目ではじめてフロントローを独占したトヨタは、軽い燃料ながらレースペースの速さで他とギャップを築き、後半のロングスティントを活かそうという作戦。ソフトタイヤを履いた第1スティントは無難なレース運びでしたが、燃料を多く積んでハードタイヤにスイッチした第2スティントでは、驚くほどペースが上がりませんでした。ずっと1分36秒〜1分37秒台で、フューエルエフェクトの分しかラップタイムが上がらない。トップにいたバトンに追いつくどころか、後方のレッドブル、マクラーレンを抑えることに必死で、結局大失敗の決勝レースになってしまいました。残念。今回は作戦が裏目に出てしまいましたね。

上海に続いて、公式予選で一発アタックを試み、3番手を確保したレッドブルのヴェッテル。ペースの上がらないトヨタのせいで割を食ってしまったのは残念でした。早い段階でトゥルーリを攻略できていれば、あるいはバトンともっと闘えたかもしれないのに。環境の影響でなかなかオーバーテイクの難しいバーレーンですが、トゥルーリもよく抑えましたからね。無理をしなかった、という面もあったんでしょうね。

4戦3勝。BGP001の速さは本物でした。2周目でハミルトンの前に出て3番手を確保し、ペースの上がらないトゥルーリと、そのトゥルーリを攻略できないヴェッテルを尻目に、第2スティントの開始でトップへ。TF109のレースペースに問題があったとはいえ、1分35秒台前半でクルーズコントロールできる抜群の安定感で、貫禄のファーストチェッカー。まいりました。これは速いわ。このクルマをぶっちぎるのは大変ですよ。まだまだアドバンテージは大きそうですね。

ドライの高速サーキットということで、注目されたのはやはりKERSの効果。今回は象徴的な場面がありました。それがライコネンの第3スティント。アウトラップでグロックと競り合い、まず第1コーナーではグロックがポジションを奪います。ところが、低速の第3コーナーの立ち上がりでライコネンはKERSを起動。外側からあっさりとグロックをパスしてしまいました。今シーズンはじめて「攻撃的に」使われたKERS。きちんと使うこなせるドライバーであれば、これだけの効果が得られると、その片鱗を見せてくれました。高速サーキットでは、やはり効果は大きいですね。

あとは、あんまり書きたくはないんですが、BMWはボロボロでした。予選でもQ3に進出できず、レースでは1周目で2台とも接触があり、緊急ピットインでジ・エンド。トラブルがほとんどなくて、リタイアが中嶋だけだったということもあり、レースでの戦いに復帰するチャンスを与えられませんでした。しかたない。このレースのことは忘れて、次のレースに集中しましょう。まだ挽回する機会はありますから。

例年より1ヶ月長かったF1のオープニング・フライアウェイも、これで終了。1週空いて、いよいよヨーロッパラウンドに突入です。「ヨーロッパの開幕はイモラ!」っていう、数年前までのイメージどおりにならないのがちょっと寂しいですが、バルセロナのサーキットも楽しんで見ようと思います。

[F1-Live.com]バーレーンGP - 決勝レポート
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驚愕の21歳

2009.04.20 Monday
2009 F1世界選手権 第3戦 中国グランプリ
決勝 / 上海インターナショナルサーキット 56Laps(305.066km)
1位:セバスチャン・ヴェッテル(レッドブル・ルノー)
2位:マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)
3位:ジェンソン・バトン(ブラウン・メルセデス)

春の上海は雨。いや、上海"も"雨、ですね。秋開催から春開催に変わった中国グランプリは、春雨のようにしとしとと降り続ける雨粒のせいで、今回はセーフティカースタートとなりました。いやはや、今シーズンもセーフティカーは大忙しですね。

公式予選で、捨て身の一発アタックで勝負を賭け、ものの見事に成功させたレッドブルのヴェッテルは、昨年のモンツァをリフレインするように磐石のレース運び。後方では同僚(むしろ先輩)のウェバーと、ブラウンGPのバトンが着かず離れず、抜きつ抜かれつのバトルを展開していましたが、ヴェッテルにとってはそれがかえって奏功した形でした。「自分のレース」ができたわけですからね。

ジュニアチームのトロロッソでは、ブエミが快調に飛ばしてするすると上位へ。ライコネンやアロンソといった歴代のワールドチャンピオンたちを尻目に、実に順調にレースを走っていました。緊張しただろうけど、楽しかったんではないかな。

ハミルトンとコヴァライネンのマクラーレン勢は、レースを重ねてだいぶエアロが安定してきたのか、ダブルポイントでフィニッシュ。どうも走りに重め感が残ってしまっているのは、おそらくはKERS搭載によるクルマのアンバランスが原因でしょうかね。上位とのギャップは確実に狭まっていて、来月からのヨーロッパラウンドには大いに期待が持てそうです。

そして、この人のことを書かずに入られませんね。フォース・インディアのエイドリアン・スーティル。はじめてのポイントゲットに向けて、慎重に車を走らせていたスーティル。雨の得意さを武器にして、タイヤをいたわりながら、見えないプレッシャーと闘い続けたスーティル。それなのに、ああ、レースの神様は、なんだってあんなにも非情なのか。5コーナーでリアをスリップさせ、そのままタイヤウォールへ一直線。なんたることか。昨年のモナコに続いて、またしても夢を打ち砕かれたスーティル。けど、折れるな。がんばれ、スーティル。

いよいよ重症なのは、フェラーリです。今シーズン3戦を終えて、未だにノーポイントなのは2チームのみ。それが、フォース・インディアとフェラーリなのです。今回はマッサがセーフティカーラン中に突然ギアが5速に入らなくなり、そのままエンジンまでストップ。ライコネンは予選の不調が響いてノーポイント。予選での一発の速さもない。レースでのロングランでも挽回できない。作戦も稚拙。KERSはアンバランス。マイナス要素ばかりが目に付いてしまって、このままじゃホントにダメになってしまいそうです。信頼性も含めて、フェラーリはまだまだ戦えるレベルになっていないなぁ。

次回は灼熱の砂漠・バーレーン。フライアウェイ4連戦もこれで区切りです。ヨーロッパラウンドへ向けた試金石となる一戦。そろそろ、天気や大クラッシュでセーフティカーが出ないように、クリアなコンディションとフェアなドライビングでF1を楽しみたいところです。

[F1-Live.com]中国GP - 決勝レポート
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自然のシャワー

2009.04.06 Monday
2009 F1世界選手権 第2戦 ペトロナス・マレーシアグランプリ
決勝 / セパン・インターナショナル・サーキット 56Laps(310.408km)
1位:ジェンソン・バトン(ブラウン・メルセデス)
2位:ニック・ハイドフェルド(BMWザウバー)
3位:ティモ・グロック(トヨタ)

なんともはや。予想されていた雨とは言え、これほどとは思いませんでした。南国特有のスコールによって、レースは32周目にレッドフラッグによりサスペンド。52分間の中断の後、レース終了のオフィシャルコールとなりました。

F1の決勝日には、午前中に下位カテゴリであるGP2の決勝レースが行われることが通例となっていますが、この日のGP2はスコールによりスタートがディレイされ、最終的にレースそのものがキャンセルされたそうです。スタート前の時点では、そのときの雨でトラック上のゴムが綺麗に掃除されてしまっているので、ハードタイヤのグリップには苦労するだろう、という程度の会話しかなかったのですが・・・・。

2戦連続ポールポジションを獲得したバトンは、しかしスタートがうまくいかず、ロズベルグ、トゥルーリ、アロンソに先を行かれて4番手。ロズベルグはセクター2が他のクルマよりも群を抜いて速く、2番手以下をグイグイと引き離していました。今シーズンから導入されたKERS(運動エネルギー回生システム)の影響については、セパンではセクターによって効果がはっきりと分かれていて、セクター1と3ではKERS搭載車が、セクター2ではKERS非搭載車が速かった。その中でも、ロズベルグの速さは際立っていました。

ただ、今回は各チームが揃って「先入観」に負けたのだな、と印象付けられるレースでした。「セパンの雨は一気に来る」という予測のもと、オンボードカメラにパラパラと雨粒がつき始めてすぐに、各チームがウェットタイヤを準備しました。しかも軒並みフルウェットタイヤ。解説の森脇さんも「インターは選べないですよね」と言っていたので、まずはインターミディエイトで様子を見る、という選択は、とりようがなかったようです。

ですが、フェラーリにいたっては、路面が対して濡れてもいないかなり早い段階から、ライコネンのクルマにフルウェットタイヤを履かせました。結果、本降りになったころには既にタイヤが死んでいた、という大失態。これには森脇さんも苦言を呈すばかりで、「わざと0ポイントを狙っているとしか思えない」と。僕も、さすがに早すぎだろうと思いましたが、フェラーリチームは大きなギャンブルに出たんでしょうね。そして失敗した。

雨は降るものの、小康状態が長めに続いたので、インターミディエイトタイヤとフルウェットタイヤのタイム差がほとんどなくなっていました。インターで走行していたのはグロック、フルウェットで走り続けたのはハイドフェルド。その後の展開を考えれば、トヨタのグロックに対する作戦はとても的確だった。BMWのハイドフェルドは、すぐに本降りになると予測してフルウェットで我慢したことが奏功した形です。順位的にはニックのほうが上ですが、作戦の成熟度はグロックのほうが上でした。

多くのクルマがドライバーズ・コールによってタイヤを換え、無線で視界の悪さをしきり訴え始めたころ、オフィシャルはようやくセーフティカーを出しました。ドライバーにすれば「遅い!」というところでしょう。事実、セーフティーカーが出る前の時点で、ブエミ、フィジケラ、ハミルトン、ハイドフェルド、ヴェッテルと多くのクルマがスピンしていたし、セーフティカー出動から赤旗までの時間がすごく短かったし。レースオフィシャルは、どうもレース中の「安全」よりも「ショー要素」に意識がいっているようで、疑問に思う部分も少なくありません。

レッドフラッグが出てレースが中断され、マシンがコントロールライン手前に整列した後、現場は大混乱のようでした。オフィシャルも実際の順位の確認に手間取ったようで、整列順におかしなところがあったり、タイミングモニタも3位のハイドフェルド以降がラップダウンと表示されていたり、不可解なところがたくさん。バリチェロはラップダウンの指示に明らかに不服そうでした。そりゃそうだよなぁ。同じクルマでペースも違わないのに、バトンと1週以上も差がつくわけないもの。

中断中、マシンを降りたウェバーが、グリッドにとどまっているドライバーやピットスタッフ、オフィシャルパーソンと積極的に話をしていたのが印象的でした。彼はGPDAの理事を務めていて、このレースにおけるドライバー側のスタンスをまとめようとしていたんでしょう。クールでマジメな人なんです、ウェバーは。

レース距離の75%に満たないため、獲得ポイントは半分になります。75%まではあと10周もなかったので、セーフティカー先導で引っ張るかとも思ったんですが、現場の混乱が収束できなかったので、それもありませんでした。まぁ、賢明でしょう。オフィシャルですらまともに順位を整理できないんだから、下手にリザルトは動かさないほうがいいでしょうし。

次は中国です。昨年までは秋口、日本GPの直後に開催されていましたが、今年はフライアウェイの第3戦になりました。上海は毎年なにかしら「やらかして」くれますけど、今年はどうでしょうね。

[F1-Live.com]マレーシアGP - 決勝レポート
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やはりそこは、開幕戦

2009.03.30 Monday
2009 F1世界選手権 第1戦 INGオーストラリアグランプリ
決勝 / アルバートパーク・サーキット 58Laps(307.574km)
1位:ジェンソン・バトン(ブラウン・メルセデス)
2位:ルーベンス・バリチェロ(ブラウン・メルセデス)
3位:ヤルノ・トゥルーリ(トヨタ)

開幕のオーストラリアは、毎年混乱が起きます。それはトラック上のみならず、パドック内、さらには報道をめぐっても。ここ数年間、毎年大幅に変わり続けている競技規約・技術規約の影響で、その解釈の問題からペナルティや抗議、リザルトの取り消しなど、さまざまなことが起こります。

今シーズンの大きな技術規約変更は、大きく分けて3つ。エアロダイナミクスの規制による車両形状の変化、スリックタイヤの復活、そしてKERS(Kinetic Energy Recovery System:運動エネルギー回生システム)の導入です。競技規約では、セーフティカールールの変更(ピットレーンクローズの廃止)、エンジン使用規約の変更(1シーズン8基以内)、シーズン中のロードテスト禁止などが発表されています。

シーズン前のテストで、圧倒的な早さを見せたブラウン・グランプリ。ホンダのワークスチームを、チーム代表ロス・ブラウンがMBOによって買収し、1ヶ月にも満たない準備期間で開幕のグリッドに並びました。しかも、最前列を独占して!

ところが、決勝のスタートでバリチェロはアンチストールが作動して発進できず。さらに1コーナーでコヴァライネンと接触。幸いフロントウィングの左フラップを破損しただけで済んで、ステイアウト。逆コヴァライネンはタイロッドを折ってしまったようで、今シーズン最初のリタイアになってしまいました。バトンは順調にスタートを切って、そのままトップを独走。

今回の注目ポイントとして挙げられていたのが、各チームのタイヤ戦略。今回ブリヂストンは、昨シーズンと違って、ミディアムとスーパーソフトという、コンパウンドレベルに2段階差のついたタイヤを持ち込みました。ミディアムコンパウンドの作動温度領域がミニマム26度程度で、スタート時刻が遅くなった今回、各チームがどのように対応するかが見物でした。

結果としては、スーパーソフトタイヤの作動温度領域には全く路面温度が足りず、タイヤがタレまくってひどかったようです。レース終盤、ミディアムタイヤを履いていたクビサやトゥルーリに比べ、スーパーソフトタイヤを履いていたロズベルグのラップタイムは1秒以上遅くなっていました。スタート時にソフトタイヤを消化していたクビサやトゥルーリは、ある意味ラッキーだったのかもしれません。さすがにここまでひどくなるとは、予測も難しかったでしょうから。

うまいこと流れに乗って、2番手も狙える位置にいたクビサですが、終盤の3コーナーでヴェッテルをパスしようとしてクラッシュ。あれはちょっと、セビーががんばりすぎ。インを抑えてはいましたけど、明らかにペースに差があったし、表彰台は確実だったんだから無理する所じゃない。クビサはとばっちりです。ひどいや。

かくして、4番手を走っていたバリチェロが2番手に浮上。そして、新規参戦チームによる、初出走、初ポール、初フロントロー独占、初優勝、初1-2フィニッシュという偉業が達成されたわけです。

ブラウンGPの2台がこれだけの力を発揮できたのは、ある意味当然と言えば当然。アルバートパークに参戦した10機種のクルマのうち、最も金を時間が費やされたクルマなんですから。金というのはホンダのお金ですけど、昨シーズンを棒に振ってまで今シーズンに注力した成果が表れたということ。苦労が報われたという意味では、素晴らしかったと思います。

一方で、あれだけ「失敗作」と言われたマクラーレンのハミルトンが、結果的に3位になっているのは、やはり戦略とテクニックで十分戦闘力を維持できるということなのかな。あるパートパークはハイスピードコーナーが少ないので、差があまり出なかったという見方もできます。そのあたりは、セパンではもっとはっきり表れるだろうと。

KERSは、今回はあまり威力を発揮できませんでした。フェラーリのKERSはオーソドックスに、ルノーのKERSは、もっぱら「守備的」に使われるばかりで、肝心のオーバーテイクシーンでのKERSパワーが見られずじまい。残念。KERSもまだ発展途上ですから、これからを期待しましょう。

[F1-Live.com]オーストラリアGP - 決勝レポート
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ドラマチック・ファイナル

2008.11.04 Tuesday
2008 F1世界選手権 第18戦 ブラジルグランプリ
決勝 / ホセ・カルロス・パーチェ・サーキット 71Laps(305.909km)
1位:フェリペ・マッサ(フェラーリ)
2位:フェルナンド・アロンソ(ルノー)
3位:キミ・ライコネン(フェラーリ)

確認しよう。

2008年のワールドチャンピオン争いは、ルイス・ハミルトンとフェリペ・マッサの2人に絞られている。ルイスは94ポイント、フェリペは87ポイントを獲得している。両者の差は7ポイントだ。レースでは1位から8位まで、順に10、8、6、5、4、3、2、1ポイントが与えられるため、フェリペがレースに勝ち10ポイントを獲得しても、ルイスは5位に入り4ポイントを獲得すればタイトルを得ることができる。

もしルイスが6位になってしまったらどうなるだろうか。フェリペがレースに勝つと、両者は97ポイントで並ぶことになる。スポーティング・レギュレーションによれば、獲得ポイントが同じ場合、レースの勝利数が多いほうが順位が上になることになっている。ルイスもフェリペもここまで5勝づつをあげているが、インテルラゴスでフェリペが勝つと勝利数が6勝となるため、フェリペがチャンピオンとなる。

様々な人たちの思惑を乗せたマシンが、ダミーグリッドにつき、まさにフォーメーションラップが始まろうとしたそのとき、文字通り水をさした突然の雨。当然のごとくグルーヴド・タイヤを装着していた各車は対応に追われ、スタートは10分間のディレイ。雨は収まる気配を見せず、全てのクルマがスタンダード・ウェットタイヤに履き替えての再スタートとなりました。

ポールポジションを獲得したマッサは、これまでと同じように逃げ切りの態勢で後続を引き離します。3番手のライコネンは、もちろんマッサをサポートするべく、意図的にペースを落としての走行。4番手のハミルトンを巧みに牽制し、前に出させません。

セーフティカーラップがあけて路面が乾き始め、各車がドライタイヤにスイッチすると、レースは膠着状態。トップのマッサは相変わらず快調に飛ばします。中盤に2位にポジションアップしたアロンソは、シーズン最後を維持を見せようとマッサに襲い掛かる、かと思いきや、むしろマッサを勝たせようとしているかのように、全くバトルを仕掛けない。ライコネンは変わらずハミルトンを押さえている。実は、この争いにヴェッテルが入り込んでいました。好調をキープするトロロッソの若きグランプリウィナーは、5位のポジションながらハミルトンに襲い掛かり、自らの"最後のレース"(彼は来季からレッドブルに移籍する)を飾ろうとしていたのです。

そんな中、文字情報が流れます。

「10分以内に、雨」

果たして本当に雨は振り出し、しかもどんどん強くなっていきます。上位陣がにわかに慌しくなり、次々とウェットタイヤにスイッチ。マッサ、ライコネン、アロンソ、ハミルトン、ヴェッテル、コヴァライネン。多くのチームがタイヤ交換をしたため、このピットストップの影響はほとんどないと思われました。ところが、上位でただ一人タイヤ交換をしなかったドライバーがいたのです。

トヨタのティモ・グロック。ウェットトラックをドライで走ることよりも、1回のピットストップをしてしまうことのほうがダメージが大きいと判断したトヨタチームは、トゥルーリとグロックをそのままトラックにとどめ、ドライタイヤでの走行を指示したのです。

これにより、グロックは4位にポジションを上げ、逆にハミルトンは5位に後退。そして、2008年のフォーミュラ・ワンを締めくくる2分30秒のドラマは、ここから始まったのです。

残り2周、最終コーナーで、後続のハミルトンに道を譲った周回遅れのクビサ。ハミルトンは、あろうことかそのクビサのラインについていってしまいます。それを見逃さなかったヴェッテル。インサイドからハミルトンをパスし、5位へ。これでハミルトンは6位。マッサは順調に先頭を走り、もはやクルージングモード。ハミルトンは、残り1周で勝負をかけざるを得なくなったわけです。

何度となくヴェッテルに勝負を仕掛けるハミルトン。しかしヴェッテルも、トロロッソに送る最後のポイントを少しでも多くしたいと、渾身の走りで振り切ります。ハミルトンは焦りからかミスをしてしまい、ヴェッテルとのギャップが広がります。そんな中、マッサが先頭でチェッカー。ピットは、ハミルトンの「6位チェッカー」を待っていました。

最終コーナー、それまでドライタイヤで耐えてきたグロックが、突如スローダウン。ハミルトンはこのグロックをパスして、5位でフィニッシュ。喜びに沸くマクラーレン。唖然とするフェラーリ。

あんなときに、あんな場所で、グロックが失速するなんて誰が考えたか。僕だって、中継を見ていた当初は、失速したのはバックマーカーで、道を譲ったんだと思いました。そしたら川井さんの「グロック失速!」。なんということだろう。こんなことが起きるんだ。これが、スポーツなんだ。

シーズンは終わりました。マッサには、新たなシーズンにまたチャレンジしてもらいたい。そして来年は、BMWの更なる飛躍を願っています。感動と興奮のサーキットを、また楽しみに。

[F1-Live.com]ブラジルGP - 決勝レポート
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